高校入試の合理的配慮はどう申請する?発達障害の子の準備と注意点

「発達障害があると、高校入試で別室受検や時間延長をお願いできるの?」
「中学校では配慮してもらっているけれど、入試でも同じ対応を受けられる?」
「診断書が必要なのか、いつまでに申し込めばいいのかわからない……」
高校受験が近づくと、勉強だけでなく、当日の試験環境や申請手続きも気になりますよね。
発達障害に伴う困難がある場合、高校入試で受検上の合理的配慮について相談・申請できます。ただし、診断名だけで配慮が決まるわけではなく、申請先・期限・必要書類・実施内容は自治体や学校、年度によって異なります。
最初にすることは、希望する配慮を決めつけることではありません。「どの試験の、どの場面で、何に困るか」と「中学校ではどんな方法が役立っているか」を整理し、担任や進路担当に早めに相談しましょう。
この記事では、高校入試で考えられる配慮の例、申請の進め方、診断書の扱い、2027年度の東京都・神奈川県の公式情報、学校への相談文例を紹介します。入試制度は改定されるため、最終的な手続きは受検する年度の公式案内で必ず確認してください。
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高校入試で合理的配慮を希望するとき、まず何をすればいい?
最初の行動は、中学校の担任・進路担当・特別支援教育コーディネーターに、受検上の配慮を希望していることを伝えることです。
具体的には、次の4点を一緒に確認しましょう。
- 受ける予定の高校、入試の種類、受検年度を整理する。
- 学力検査・作文・面接などで困りそうな場面を本人と確認する。
- 中学校の授業や定期テストで行っている支援と、その効果を整理する。
- 志望先の公式案内から、申請先・提出期限・必要書類を確認する。
「時間延長をお願いしたい」と考えていても、実際には問題文の読み方、書字の負担、周囲の音、解答方法など、いくつかの困難が重なっている場合もあります。本人が安心して受けられる条件を探し、何を相談するかを具体的にしていきましょう。
文部科学省の「高等学校入学者選抜における受検上の配慮に関する参考資料」でも、本人・保護者・中学校・高等学校・教育委員会などが連携して、個別の状況に応じた内容を検討することが示されています。
参考:文部科学省「高等学校入学者選抜における受検上の配慮に関する参考資料」
高校入試の「受検上の配慮」とは?何が認められる?
受検上の配慮は、障害に伴う困難がある受検者が、試験で必要な力を示せるように、検査方法や環境などを調整するものです。
合格点を加算する仕組みではなく、試験の内容や求められる学力を一律に簡単にする制度でもありません。必要性や方法は個別に検討されます。
別室受検:周囲の刺激が大きな負担になるとき
周囲の話し声、人の動き、物音などで問題に取り組むことが難しい場合、別室受検が配慮の例として挙げられています。
ただし、「ADHDなら別室」「ASDなら必ず別室」という決まりではありません。本人がどんな環境で困り、普段どのような教室環境なら取り組みやすいかを伝えます。別室がかえって不安になる子もいるため、本人の希望も大切です。
検査時間の延長:読む・書く作業に時間がかかるとき
問題の意味は理解できても、読むことや書くことに著しく時間がかかり、解答を終えられない場合には、検査時間の延長が検討されることがあります。
ただし、WISCなどの検査で特定の指標が低いだけでは、必要な延長時間や実施の可否は決まりません。中学校の定期テストでの様子や、どの作業が負担になるかを具体的に共有しましょう。
問題用紙・解答方法の調整:文字や記入に困るとき
東京都の公式案内では、発達障害に関する配慮例として、問題用紙・解答用紙へのルビ振り、ICT機器の使用、記号選択式での受検も紹介されています。
ただし、実施できる方法は選抜の方式や本人の状況によって異なります。普段使っている機器や読み上げ機能を試験会場へ無断で持ち込まず、必要な許可・設定・利用範囲を事前に確認してください。
座席や試験会場の環境:個別の負担を減らしたいとき
座席の位置など、環境の調整も相談の対象になる場合があります。神奈川県の公式案内でも座席の配慮が例示されています。
「どの席なら安心か」だけでなく、「何が気になるのか」「普段の授業ではどのように調整しているか」まで伝えると相談しやすくなります。
合理的配慮の申請はいつ、誰に、どの順番で行う?
高校入試での申請は、一般に次のような流れで進みます。ただし、これは全国共通の固定手順ではなく、実際の申請書類や経路は志望先の公式要項に従います。
STEP1.中学校に相談し、困る場面を整理する
受検する可能性のある高校が見え始めたら、中学校に相談しましょう。まだ志望校が完全に決まっていなくても、配慮を希望する可能性があることを伝え、確認すべき制度や時期を尋ねられます。
本人がうまく説明できないときは、定期テストの答案や日頃の学習の様子などから、「時間が足りなかった」「問題を読む負担が大きかった」といった場面を整理します。
STEP2.希望内容と、学校での支援の実績をまとめる
中学校で実施している配慮や工夫は、入試での検討材料になります。例えば「定期テストで別室を利用している」「授業資料を拡大している」「解答方法の調整を相談している」などです。
中学校で実施している配慮が入試でも必ず認められるわけではありません。反対に、現在は特別な配慮を受けていない場合も、入試で困る理由を相談すること自体を諦める必要はありません。何を根拠資料とするかは申請先に確認します。
STEP3.受検年度の申請書と期限を確認する
公立高校では、中学校を通して志願先の高校などへ申請する制度があります。申請時期は通常の出願期間より早いことがあるため、「出願するときにまとめて考えればよい」とは限りません。
私立高校や国立高校を受ける場合は、公立高校と申請窓口・方式が同じとは限りません。志望校の募集要項や問い合わせ先で個別に確認してください。
STEP4.申請内容の確認・調整を受け、決定事項を確かめる
希望内容がそのまま決定するとは限りません。必要性や試験の公平性などを踏まえ、関係者が内容を検討します。
決定後は、別室の場所、時間、机上に置けるもの、ICT機器の扱い、試験監督者への伝達事項など、本人が当日困らないように確認しましょう。
2027年度入試の実例|東京都と神奈川県ではどうなっている?
ここでは、2026年11月6日時点で確認できる2027年度(令和9年度)公立高校入試の公式情報を紹介します。日付や様式は年度によって変わるため、翌年度以降の記事として読む場合は必ず更新情報を確認してください。
東京都:2026年12月18日が配慮申請の提出期限
東京都教育委員会は、2027年度都立高校入学者選抜について、障害のある受検者が検査方法・時間・会場などの配慮を申請できると案内しています。
2027年度入試の配慮申請は、2026年12月18日(金)までに提出することとされています。
在籍中学校を通して、所定の申請書を志願先の都立高校へ提出する仕組みです。現在中学校に在籍していない場合は、志願先の都立高校に直接問い合わせる案内があります。
東京都の発達障害に関する配慮例には、別室受検、検査時間の延長、ルビ振り、ICT機器の使用、記号選択式での受検などがあります。これらは例示であり、必ず認められる一覧ではありません。
参考:東京都教育委員会「障害のある受検者に対する配慮」(2026年10月6日更新)
神奈川県:中学校を通して事前申請する仕組み
神奈川県は2027年度公立高校入試について、障害等がある受検者が中学校を通して受検方法の配慮を事前申請できると案内しています。
例として、問題用紙等の拡大、検査時間の延長、別室受検、座席の配慮などが示されています。中学校での学習活動における配慮を基本に、本人の状況に応じて個別に対応するという説明です。
神奈川県の具体的な申請条件・必要書類・締切は、この概要だけでは確定できません。中学校を通じて、2027年度の実施要領と申請手続きを確認してください。
参考:神奈川県「令和9年度公立高等学校の募集及び選抜実施要領」
ほかの地域や私立高校は、同じ期限だと思わない
東京都の12月18日は全国共通の締切ではありません。自治体によって申請する相手や提出書類が異なり、私立高校では学校ごとの問い合わせが必要です。
受検する都道府県、学校、年度、一般・推薦などの選抜方式を確かめたうえで、正式な募集案内を確認しましょう。
診断書やWISCの結果は必要?申請書類の考え方
保護者の方から多いのが「診断書がなければ配慮をお願いできませんか」という疑問です。
医師の診断書が全国一律に必須というわけではありません。ただし、申請先によっては診断書などの資料を求められる場合があります。
文部科学省の2022年の参考資料では、申請の参考資料として、中学校での学習や定期テストの様子、個別の教育支援計画の写し、医師の診断書の写しなどが例示されています。当時の自治体調査でも、診断書の取り扱いには違いがありました。これは過去の調査であり、2027年度の各自治体の要件を示すものではありません。
まず確認したいのは「何の書類が必要か」
- 指定の受検上の配慮申請書はあるか。
- 中学校での支援内容や定期テストの様子を示す資料が必要か。
- 医師の診断書や心理検査結果は求められているか。必要なら、いつのものが有効か。
- 提出する人は誰か。中学校がまとめて送るのか。
- 追加資料の依頼や、決定内容の連絡はどのように行われるか。
診断書の取得には時間がかかる場合があります。不要と決めつけて準備しないことも、必要と確かめずに検査を急ぐことも避け、まず中学校と申請先に確認しましょう。
WISCの数値だけで、配慮の内容は決まらない
WISCなどの心理検査結果は参考情報となることがありますが、「PSIが低いから必ず時間延長」「WMIが低いから別室受検」といった一律の判断はできません。
試験のどんな場面で困るのか、日頃どのような方法なら学習内容を示せるのかを、本人・保護者・学校で整理することが重要です。
参考:文部科学省「高等学校入学者選抜における受検上の配慮に関する参考資料」
相談前に作る「困りごと・学校での工夫・希望内容」メモ
学校への相談では、病名や検査数値を並べるよりも、実際に起きている困難を具体的に伝える方が話し合いの手がかりになります。
以下の5項目を、本人と一緒に書き出してみてください。
- 受検する試験:公立・私立、学校名、年度、一般・推薦などの方式。
- 困る場面:問題文を読む、解答を書く、周囲の音、面接での質問など。
- 普段の様子:中学校の授業・定期テストで、いつどのように困っているか。
- 試している工夫:座席の調整、手順の見える化、教材や解答方法の工夫など。
- 希望と質問:どんな方法を相談したいか、申請にどんな資料が必要か。
例えば「数学の解き方は説明できるが、解答を書くのに時間がかかり、定期テストで後半が空欄になりやすい。学校では何を試せるか相談している」といった形です。これは説明用の想定例であり、実在の受検者の事例ではありません。
本人が困っている事実と、まだ試していない希望の方法は分けて書くことが大切です。「時間延長してもらえれば必ず解ける」など、確認していない効果を断定しないようにしましょう。
中学校への相談文例|いつまでに何を聞けばいい?
申請が必要か迷っている段階でも、学校へ相談することはできます。連絡帳やメールでは、次のような形が一案です。
【保護者から進路担当の先生への相談文・想定例】
「いつもお世話になっております。高校入試の受検上の配慮についてご相談したく、ご連絡しました。本人は、定期テストで周囲の音が気になることや、問題を読んで解答を書くのに時間がかかることがあります。高校入試でどのような配慮を申請できるか、本人の希望を確認しながら相談したいと考えています。受検予定の学校・選抜方式で必要な申請書類、提出期限、中学校で準備する資料について教えていただけないでしょうか。面談の機会をいただけますと幸いです。」
実際には、お子さんが困っている場面だけを残し、想定例の内容をそのまま事実として送らないでください。
面談で確認する6つの質問
- 志望校の入試で、受検上の配慮を申請する窓口はどこですか。
- 相談・申請はいつまでに必要ですか。中学校内の提出日はさらに早いですか。
- 希望する配慮は、どの選抜方式で申請できますか。
- 中学校での配慮実績や学習状況を、どのように資料へまとめますか。
- 診断書や検査結果など、申請先が求める書類は何ですか。
- 決定内容はいつ、誰から、どのように連絡されますか。
配慮申請の内容は本人の大切な個人情報に関わります。何を誰に共有するか、可能な範囲で本人の意思も確認して進めましょう。
面接・作文・ICT機器の配慮も確認しよう
高校入試は学力検査だけとは限りません。作文・小論文・面接・実技などが選抜に含まれる場合もあります。配慮を希望するときは、「どの検査で」「どの配慮が必要か」を一つずつ確認します。
面接:質問の聞き取りや答えるまでの時間が負担な場合
長い質問の意味を理解しにくい、質問を聞いてから答えを整理するまで時間がかかるなど、困りごとがあれば具体的に伝えます。
ただし、質問の繰り返し、筆談、面接方法の変更などを希望しても、すべての試験で認められるとは限りません。志望校の選抜方式に沿って事前に相談しましょう。
作文:考えはあるのに書字に強い負担がある場合
内容の構成を考えることと、文字を書くことは別の作業です。書字に著しい困難があり、普段から支援を受けている場合は、どのような方法を申請できるか確認してください。
家庭で口頭練習をする場合も、本番の解答形式がどうなるかは申請結果によって異なります。希望した方法を前提に試験準備を進めないようにしましょう。
ICT機器:持ち込みだけでなく利用条件を確認する
普段タブレットや入力機器を使っていても、入試で使えるとは限りません。許可の有無だけでなく、機器の種類、通信・読み上げなどの機能、持ち込みと試験会場での準備、動作確認の方法などを申請先に確認しましょう。
東京都の公式案内にはICT機器の使用が配慮例として掲載されていますが、実施内容は個別に決定するとされています。
申請が認められた後、試験当日までに確認したいこと
配慮が決定したら、それで準備がすべて終わるわけではありません。本人が当日に戸惑わないよう、実施条件を具体的に確認します。
- 場所:試験室・集合場所・入退室の案内はどうなっているか。
- 時間:延長がある場合、開始・終了・休憩・次の試験への移動はどうなるか。
- 解答方法:解答用紙の形式、記号選択式、作文の扱いなどはどうなるか。
- 持ち物:許可されたICT機器や補助具の利用条件は何か。
- 相談先:当日、予定と違うことが起きたら誰に伝えるか。
普段と違う部屋や解答形式になると、不安が強まる子もいます。可能な範囲で本人に流れを説明し、確認できる情報は事前に伝えましょう。会場の下見や事前の機器確認などを希望する場合も、実施できるかどうかを申請先に相談します。
希望した配慮が一部認められなかった場合
まず、どの内容が認められ、どの内容が認められなかったかを正確に確認します。理由や、別の方法を相談できるかについて、中学校を通じて問い合わせましょう。
文部科学省の参考資料も、希望した配慮の全部または一部を実施しない場合は、その理由を具体的に説明する必要があるとしています。申請内容に関する不明点をそのままにせず、必要な確認を行いましょう。
よくある質問|診断がない場合や私立高校でも相談できる?
Q.発達障害の診断がない「グレーゾーン」でも申請できますか?
学校生活の困りごとや入試での不安を相談することはできます。ただし、制度上の配慮の対象になるか、どの資料が必要かは志望先の募集要項や個別の判断によって異なります。「診断がないから絶対無理」「相談すれば必ず認められる」のどちらとも決めつけず、中学校と申請先へ確認してください。
Q.中学校で特別支援学級や通級を利用していないと、申請できませんか?
中学校での支援状況は重要な参考情報ですが、特別支援学級や通級の利用歴だけで全国一律に申請の可否が決まるとは言えません。今の困りごとと日頃の学習状況を伝え、受検年度の申請条件を確認してください。
Q.私立高校の入試でも合理的配慮をお願いできますか?
入試での困難について、私立高校にも相談できます。ただし、手続きや期限、具体的な対応は各校で確認が必要です。公立高校の申請書や締切をそのまま使えるとは限らないため、志望先の募集要項と窓口を確認しましょう。
Q.合理的配慮を申請すると、合否に不利になりますか?
配慮の申請そのものを理由に不利益を受けてよいという制度ではありません。文部科学省は障害を理由とする不当な差別的取扱いをしないよう求めています。ただし、個別の入試における取り扱いについて不安があれば、学校や教育委員会の正式な窓口で確認してください。
Q.中学校の定期テストで時間延長を受けていれば、入試でも自動的に認められますか?
いいえ。中学校での配慮は検討の参考になりますが、高校入試では所定の申請と判断が必要です。中学校での実施内容や役立ったことを整理し、志望先の手続きに沿って申請しましょう。
Q.申請の締切が近い、または過ぎている場合はどうすればいい?
自己判断で諦めず、中学校の進路担当へ直ちに相談し、志望先の正式な窓口に対応を確認してください。ただし、期限後の申請が認められるかどうかを一律に保証することはできません。次の受験機会や選抜方式についても、必要に応じて確認しましょう。
まとめ|合理的配慮は「何に困るか」を整理し、期限より前に相談しよう
発達障害のある子の高校入試では、別室受検、検査時間の延長、問題用紙・解答方法の調整などを相談できる場合があります。ただし、診断名や心理検査の数値だけで実施内容が決まるわけではありません。
- 本人がどの試験場面で困るのか、具体的に整理する。
- 中学校で行っている配慮や役立った工夫を確認する。
- 受検する都道府県・高校・年度・選抜方式の申請条件を調べる。
- 必要書類と提出期限を中学校の進路担当に早めに確認する。
- 配慮が決定したら、当日の場所・時間・解答方法などを本人と確かめる。
2027年度の東京都立高校入試を受ける場合、配慮申請の提出期限は2026年12月18日です。ほかの地域や私立高校では異なります。まずは今週、中学校の先生に「受検上の配慮について相談したい」と伝え、必要な手続きを確認してみてください。
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ただし、受検上の配慮の申請・決定は中学校や志望先などの正式な手続きによるものです。家庭教師が配慮の承認や合格を保証することはできません。進路・制度の相談は学校の担当者へ、家庭学習の困りごとは学習支援の場へと、役割を分けて進めましょう。
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