発達障害のある中学生の勉強法|特性に合う進め方と5教科のコツ

「うちの子は、どんな勉強法なら続けられるんだろう?」
「机には向かうのに、なかなか成績につながらない……」
「中学生になって勉強が急に難しくなり、高校受験も心配」
そんな悩みを抱える保護者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
発達障害のある中学生の勉強では、勉強時間を一律に増やすよりも、「どこで困っているか」を確かめ、課題の量・伝え方・取り組む順番を調整することが大切です。 例えば、計算の意味がわからない子と、答えはわかるのに書くのに時間がかかる子では、必要なサポートが違います。
この記事では、ADHD(注意欠如多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)、学習障害・限局性学習症(SLD)などの特性を念頭に、家庭で始められる勉強法を具体例とともに解説します。診断の有無だけで方法を決めず、お子さん自身の困りごとを出発点に考えていきましょう。
『勉強が苦手』な子専門で36年の家庭教師あすなろの体験授業を受けてみませんか?
あすなろでは、どこよりもお子さんの気持ちに寄り添い、勉強が苦手な子にとって最高の勉強法を教えています。
まずは、家庭教師のあすなろのホームページをご覧くださいね。
発達障害のある中学生の勉強法は「困りごと別」に選ぶ
最初にやるべきことは、勉強時間を決めることではありません。「勉強を始められない」「問題の意味がわからない」「覚えても抜ける」など、どの段階で止まっているかを確認することです。
- 何から始めればいいかわからない:「数学のワーク12ページの1番だけ」のように、最初の行動を具体的にする
- 集中が途切れやすい:まず5〜10分の短い学習を試し、休憩の取り方を本人と決める
- 説明はわかるのに書けない:口頭で答える、式だけを書く、入力機器を使うなど方法を調整する
- 長い文章を読むのがつらい:1文ずつ区切る、読み上げを併用する、重要な条件に印を付ける
- 同じところで何度も間違える:新しい単元を進める前に、前提となる単元へ戻って確認する
- 帰宅すると勉強できない:疲れ方や感覚刺激を確認し、開始時刻・場所・課題量を見直す
どの工夫が合うかは個人差があります。これらの工夫を一度にすべて試すのではなく、まず一つ変更し、取り組みやすくなったかを確認するのがポイントです。
国立特別支援教育総合研究所の発達障害教育推進センターも、集中が難しい場合には、困りごとが生じる場面を把握したうえで課題を分割し、見通しを示すことや学習環境を整えることを紹介しています。
参考:発達障害教育推進センター「注意を集中し続けるための指導・支援」
中学生になって勉強が難しくなるのはなぜ?
中学校では教科ごとの内容が積み重なり、授業の進度も変わります。さらに、教科書・ノート・ワーク・提出期限を自分で管理する場面が増えます。「授業を理解する力」と「学習を進めるための管理」は別の課題として考えると、サポートを選びやすくなります。
1.前の学年の「わからない」が残っている
数学の一次方程式で手が止まる場合、一次方程式そのものだけでなく、正負の数、文字式、分数の計算などに原因があるかもしれません。英語なら、中2の英文を読めなくても、実際には中1の主語・動詞の語順や基本単語でつまずいていることがあります。
この場合は、難しい問題を繰り返すより、解けるところまで戻り、少しずつ現在の単元につなぐ方法が合うことがあります。
2.学習の段取りや注意の切り替えに負担がある
「勉強するつもりなのに始められない」「問題を解いている途中で別のことをしてしまう」「提出期限を忘れる」といった困りごとは、知識不足とは別に起こり得ます。ADHDのある子に見られることがありますが、ADHDだけに限りません。
本人の意欲を決めつけず、「どの場面で止まるのか」「指示を小さくしたら始められるか」を観察しましょう。
3.読む・書く・計算する特定の作業が難しい
説明を聞けば理解できるのに文章を読むと時間がかかる、口では答えられるのにノートに書けない、計算手順の一部だけが著しく難しい、といったケースもあります。
学習障害・限局性学習症の可能性も考えられますが、記事のチェック項目だけで判断することはできません。 読み書きの負担が大きいときは、勉強法の工夫と同時に学校への相談も検討してください。
4.疲れ・不安・周囲の刺激が影響している
学校では授業や友人関係に気を配り、帰宅後には余力が少なくなっている子もいます。音や光、周囲の話し声が気になり、学習に集中しづらい場合もあります。
「帰宅直後はできないけれど、休んでからなら取り組める」「静かな場所では解ける」など、時間帯や環境による違いがないかを確認します。
今日から始める、勉強を立て直す5つの手順
ここからは家庭で試すための具体的な流れです。最初から完璧な計画を作らず、「できたかどうかを確認できる小さな目標」から始めます。
STEP1.「できない」を一つの場面に絞って記録する
まず3日ほど、勉強中の困りごとを短くメモします。例えば、「数学の問題を読むまでに時間がかかった」「英語は音読できるが書くと止まる」「夕食後は取り組めた」のような事実です。
「やる気がない」「集中力がない」とまとめず、課題・時間帯・場所・どこで止まったかを見ます。記録は本人を評価するためではなく、合う方法を探すために使います。
STEP2.今の単元と、その一つ前を確認する
例として、中1の一次方程式「3x+5=17」が解けない場合を考えましょう。
- 「17−5」ができるか確かめる。
- 「3x=12」から「x=4」にできるか確かめる。
- 途中で止まるなら、逆算や文字式・正負の数など、必要な箇所に戻る。
- 前提がわかったら、もとの問題をもう一度解く。
正解したかだけでなく、どこまで自力で説明できるかを見るのがコツです。できていない単元を見つけても、学年をまとめてやり直す必要はありません。必要なところから戻りましょう。
STEP3.最初の課題を「1問」まで小さくする
「今夜は数学を1時間」よりも、「教科書の例題を1問見て、同じ型の問題を1問解く」の方が、終わりが明確です。
学習例(最初の10分)
- 1分:今日やるページと問題番号を確認する。
- 3分:例題を見て、解き方を一緒に確認する。
- 4分:同じ型の問題を1問、自分で解く。
- 2分:答え合わせをして、わからなかった部分に印を付ける。
10分はあくまでスタートの例です。疲れが強ければ3分でも構いません。余裕がある日は少し増やしてもよく、本人に合う長さを探します。
STEP4.間違えた問題は「原因別」に直す
間違いを全部書き直すのではなく、原因を分けます。
- 内容がわからない: 前の単元や例題に戻る。
- 問題文を読み落とした: 数字・条件・問いに線を引く。
- 途中の計算を間違えた: 途中式を1行ずつ分ける。
- 書く作業で止まった: 口頭説明・入力など、別の表現方法も試す。
直したあと、数字や語句を少し変えた類題を1問、自力でできるかを確認します。解説を読んで「わかった」と思うだけで終わらないことが重要です。
STEP5.成果は「勉強時間」だけで測らない
最初の目標は「30分座れた」だけでなく、「自分で1問始められた」「前より声かけが少なくて済んだ」「1問の解き方を説明できた」などにします。
週末に本人と振り返り、続ける工夫を一つ、変える工夫を一つ決めてください。取り組みにくくなった場合は、本人に合わない方法を無理に続けないことも大切です。
ADHD・ASD・学習障害など、特性に合わせた工夫
診断名だけで勉強法を決めることはできません。同じ診断名でも困りごとは異なり、複数の特性が重なる場合もあります。以下は「その困りごとがある場合に試せる方法」として参考にしてください。
注意がそれやすい・始めるまでに時間がかかる場合
机の上には今使う教材だけを置き、「数学ワークの3番を解く」と紙に書きます。複数の指示を一度に出さず、終わったら次の一つを伝えます。
タイマーは急かす道具ではなく、「いったんここまで」という見通しを示す道具として使います。音に敏感なお子さんには、音が鳴らない表示式のタイマーなどを選びます。
予定の変更・曖昧な説明・完璧さが負担になる場合
最初に「何を・何問・いつ終えるか」を見える形で示します。「いい感じに復習してね」ではなく、「英単語を3つ確認して、1つ言えたら終わり」のように具体的にします。
予定が変わる日は、早めに伝え、「先に英語をするか、数学をするか」と代案も示します。間違いを恐れて進めない子には、下書きや途中段階を認め、取りかかるハードルを下げます。
読字・書字・計算に強い苦手さがある場合
文章の読み上げを併用する、行間を広げる、問題文を短く区切る、口頭で考えを説明する、入力機器を利用するなど、学びたい内容と、読む・書く作業の負担を分ける工夫が考えられます。
学校の課題やテストでの利用は、担当の先生と相談してください。配慮の内容は本人の状況や学校での検討によって異なり、すべての方法が必ず認められるわけではありません。
参考:発達障害教育推進センター「学習障害(LD)のある子どもの合理的配慮」
中学生の5教科はどう勉強する?教科別の具体例
苦手な教科があっても、最初から教科書を全部やり直す必要はありません。現在の授業で必要な一つの力を選び、前提の確認→短い練習→自力で解けるか確認の順に進めます。
数学:答えより「どこで止まったか」を見る
計算が苦手なら、例題と同じ型の問題を1問ずつ解きます。一次方程式が難しい場合は、正負の数、文字式、等式の変形のうち、どこに戻ればよいかを確かめます。
文章題は、いきなり式を書かせず、「何を求める?」「わかっている数字は?」と一つずつ確認しましょう。必要なら線分図や表に整理します。式を立てる力と計算する力を分けて確認すると、支援すべき箇所が見えやすくなります。
英語:単語・語順・音声を分けて確認する
英語が苦手な場合、まずは短い基本文を扱います。例えば「I play soccer.」なら、「誰が(I)」「どうする(play)」「何を(soccer)」を対応させます。
音声を聞いて意味がわかるのに文字を書くのが難しい子は、聞く・読む・書くを一度に求めない方法も試せます。最初に意味を確認し、短い文を音読し、必要に応じて書く練習へ進みます。単語を大量に書かせるだけで覚えられるとは限りません。
国語:長文を短く区切り、根拠を見つける
読解では1段落ずつ読み、「誰の話か」「何が起きたか」「本文のどこに書いてあるか」を確認します。指示語の「それ」「このこと」が何を指すのか、線を引いて探す練習も有効な場合があります。
文章を読むこと自体に大きな負担がある場合は、読み上げなどを使い、内容を理解することと文字を読むことをいったん分ける方法を検討しましょう。
参考:発達障害教育推進センター「文字や文章を読み理解する能力を高めるための指導・支援」
理科・社会:覚える量を絞り、短い問いで確認する
理科は、言葉だけで覚えるのが難しければ、図や実験の流れと結びつけます。社会は、出来事を時系列に並べたり、地図と位置関係を確かめたりすると理解しやすいことがあります。
教科書を読んだ後に「今日の重要語句は何?」「それはどういう意味?」「具体例は?」の3つを口頭で確認するなど、少数の問いで理解を確かめます。暗記カードを大量に作るより、覚える範囲を絞って、翌日も説明できるかを見ましょう。
宿題・提出物・定期テストは「管理の仕組み」を別に作る
勉強内容がわかっていても、提出することが難しい場合があります。提出物は、①課題を把握する ②取り組む ③持っていく ④提出するの四つに分け、どこで止まるか確認します。
例えば学校のワークが12ページなら、「今日12ページ全部」ではなく、提出日から逆算して1日分を決めます。終えたページには印を付け、提出日の前日にはカバンへ入れる時間を決めます。学校の許可が得られる場合は、提出形式や課題量の調整を相談することもできます。
宿題に取りかかれない理由をさらに詳しく知りたい方は、「宿題しないのはなぜ?発達障害の子に“合った”やり方を見つけよう」も参考にしてください。
定期テスト前は、全教科を一度に完璧にしようとせず、授業の基本問題・学校ワークの例題・間違えた問題の解き直しを優先します。テスト勉強の詳しい計画は、別の記事で深掘りする形にすると整理しやすくなります。
無理なく始める1週間の家庭学習スケジュール例
以下は「最初は10分前後から試す」場合の想定例です。医療的な基準や全員に適した学習時間ではありません。体調、学校の宿題、部活動、本人の希望に合わせて調整してください。
- 月:数学:例題を確認して類題1問(確認:解き方を言葉で説明できた)
- 火:英語:基本文1つの意味・語順を確認(確認:主語と動詞を指させた)
- 水:国語:短い1段落を読んで内容を説明(確認:本文の根拠を一つ見つけた)
- 木:数学:月曜に間違えた問題を解き直す(確認:ヒントなしで解けたか確認した)
- 金:理科・社会:重要語句を3つ確認(確認:自分の言葉で説明できた)
- 土:学校の提出物を確認し、必要な作業を一つ進める(確認:提出日と残りのページを確認した)
- 日:休息・本人と振り返り(確認:続けたい工夫を一つ決めた)
「月曜にできなかったから、火曜に倍やる」という埋め合わせは必要ありません。負担が大きいときは量を減らし、続けられる形を一緒に探すことを優先します。
保護者の声かけは「勉強しなさい」よりも具体的に
毎日の声かけでぶつかってしまう場合は、子どもが次に何をするか分かる言葉へ変えてみましょう。
例えば、「まだ勉強していないの?」ではなく、「今日は英語と数学、どちらの1問から始める?」。「何でこんな問題もできないの?」ではなく、「どこまではわかった? その先を一緒に見よう」と伝えます。
本人が疲れている日は「今やる? 少し休んでからやる?」と選べる形にするのも一案です。取り組めたら点数だけでなく、「自分で始められたね」「昨日より早く準備できたね」と具体的な行動を認めましょう。
声かけや家庭での学習支援については、「発達障害の中学生の学習支援:親御さんができるサポート23選」でも詳しく紹介しています。
ただし、家庭だけで何とかしようと抱え込む必要はありません。親子で勉強の話をするたびに衝突する場合は、学校や外部の学習支援者に役割を分けてもよいのです。
家庭の工夫だけで難しいときは、学校と連携する
読み書きの負担が大きい、提出物が極端に難しい、学校生活への強い不安があるといった場合は、担任や特別支援教育コーディネーターに具体的な困りごとを伝えましょう。
「発達障害なので配慮してほしい」とだけ伝えるより、「板書を書き写す間に説明を聞き逃す」「読めるが書くのに時間がかかる」「提出期限の管理が難しい」と場面を説明すると、対応を相談しやすくなります。
学校では、一人ひとりの教育的なニーズに応じた合理的配慮について、本人・保護者と学校側が話し合って検討します。例えば教材の提示方法、課題の分量、情報の伝え方などは相談の対象になり得ますが、対応の内容は個別に決まります。
参考:文部科学省「障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針」
なお、特定の教科だけ著しい困難が続く、睡眠や不安の問題が強い、日常生活への影響が大きい場合は、学校の相談窓口に加え、必要に応じて医療機関や専門機関へ相談してください。勉強の困りごとだけで、発達障害かどうかを診断することはできません。
よくある質問
Q.発達障害のある中学生は、毎日何分勉強すればいいですか?
全員に当てはまる時間はありません。 最初は短い課題から始め、疲労や理解度を見ながら調整してください。10分はこの記事で示した学習例であり、医学的・教育的に決められた標準時間ではありません。
Q.発達障害の診断がなくても、同じ勉強法を試していいですか?
はい。課題を小さくする、見通しを示す、前の単元へ戻るといった工夫は、診断の有無にかかわらず試せます。ただし、困難が強い場合は原因を自己判断せず、学校や専門機関に相談してください。
Q.勉強の工夫をしても成績が上がらないときは?
取り組んだ時間よりも、どこで理解が止まっているかを確認します。授業内容が難しい場合は前の単元へ、読み書きや提出管理に負担がある場合は学習方法や学校との連携へ、と対策を分けましょう。結果がすぐに出ないこともあるため、短い期間の点数だけで判断しないことが大切です。
まとめ|「本人に合った1問」から勉強を始めよう
発達障害のある中学生の勉強法で大切なのは、診断名だけで方法を決めず、今困っている場面に合う工夫を選ぶことです。
まずは「何が難しいか」を一つ確認し、前の単元が必要なら戻り、今日やる問題を一つ決めてみてください。短い学習でも、自分で始められたか、解き方を説明できたか、翌日もできるかを確かめると、次に必要なサポートが見えてきます。
勉強を始めるまでに時間がかかる、同じ単元でつまずく、保護者の声かけだけでは続かない。 そんなときは、家庭だけで抱えず、学校や学習支援の力を借りることも考えてみましょう。
お子さんに合う勉強の進め方を、一緒に探しませんか?
家庭教師のあすなろでは、発達特性のあるお子さんの学習についても、一人ひとりの困りごとや理解度を踏まえたサポートを案内しています。たとえば、予習復習計画帳を使って、指導がない日に取り組むことも見える形に整理しています。
「どこまで戻って勉強すればいいかわからない」「家だと親子で言い合いになる」というときは、今の状況を相談してみませんか。
発達障害サポート資料

この資料でわかること
- 発達障害の子を伸ばす教育とは?
- 特性に合わせた具体的な教え方
- よくある困りごとと対応例 など
発達障害の専門家が監修!お子さんをぐーんと伸ばす接し方を徹底解説
この一冊で、特性ごとの勉強の悩みがスッキリ解消!
教え方に困った時にスグに対応できる!







