支援のコツ

自閉症の子はなぜオウム返しするの?行動の意味と対処法を解説

この記事の著者

房前 みなみ / 発達障害コミュニケーション指導者

このページでは、自閉症スペクトラム障害(ASD)におけるオウム返し行動に焦点を当て、その意味と理解について解説していきます。さらに、支援の方法についても分かりやすく解説していきますので、ぜひ参考にしてください。

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自閉症のオウム返し行動とは?

オウム返し行動(エコラリア)は、自閉症スペクトラム障害(ASD)の一部の子に見られるコミュニケーションの特徴の一つです。

オウム返し行動は以下のような特徴を持っています。

繰り返し的な言葉やフレーズの繰り返し
自閉症の子は、誰かが言った言葉やフレーズを繰り返します。

即座に反応する
オウム返しは通常、即座に行われます。誰かが言ったことをすぐにオウム返しに言い返しますが、これは彼らのコミュニケーションとしてとらえることができます。

本人は気が付いていない
オウム返し行動をとってしまう子は、繰り返しの言葉やフレーズを使用していることを、気が付いていない可能性があります。

自閉症のオウム返し行動は、どんな時にやるの?

オウム返しは様々な状況で見られますが、特に以下のような場面で頻繁に観察されることがあります。
オウム返しが見られる具体的な状況の一部を紹介していきます。

質問の応答として
質問に対して応答として、相手の質問の一部やそのままの言葉を使うことがあります。例えば、相手が「お名前は?」と言ったとき、オウム返しをする子どもは「お名前は?」と同じ言葉を返してしまいます。

指示を出された場合
親や指導者が特定の指示を出すと、子どもはその指示を、そのまま言葉として返す場合があります。

日常の会話の中で
オウム返し行動は日常の会話中でも見られます。他人の言葉を繰り返すことで、会話を継続させようとしています。

相手の感情が理解できない場合
自閉症の子どもは感情表現が難しい場合があり、相手の感情を理解できないことがあります。このため、相手が「嬉しい!」と言った場合、子どもは「嬉しい!」と同じ言葉を言うことでコミュニケーションを取ろうとします。ただし、嬉しいという相手の感情を理解しての言葉ではありません。

オウム返しは、自閉症スペクトラム障害(ASD)のある子どもたちによく見られる特徴の一つであり、コミュニケーションや社交的なスキルの発達に大きく影響していると考えられています。

自閉症のオウム返し行動はどのように理解すればいいの?

自閉症のオウム返し行動について、親御さんや支援者はどのように理解すればよいのかを解説します。

自閉症のオウム返し行動の意味は?

模倣することで学習している
自閉症のオウム返し行動は、子どもが周囲の言葉や行動を模倣することで、社会的なルールやコミュニケーションの基本を学ぶ学習プロセスの一部と言えます。

コミュニケーションの試み
自閉症のオウム返し行動は、自閉症の子どもが他人とコミュニケーションを試みる方法の一つです。相手の言葉をオウム返しにすることで、会話を継続させようとし、相手との関係を築こうとしています。

感受性が高いことの証
自閉症のオウム返し行動は、言葉やフレーズをそのまま繰り返す行動ですが、これができると言うことは、言葉の音やリズムに対して感受性が高いことを示しています。

自閉症の子へのコミュニケーション支援のために理解しておいた方がいいこと

自らコミュニケーションを取ろうとしている行動であること
自閉症の子どもは他人とのコミュニケーションに困難があることがあります。オウム返し行動は、相手の発言に反応する一つの方法であり、自分からコミュニケーションの試みようとしています。

オウム返し行動はコミュニケーションスキル発達の手助けになっている
自閉症のオウム返し行動は、自閉症の子どもがコミュニケーションスキルを発達させることの手助けになります。

個別サポートの計画が立てられる
自閉症の子のオウム返し行動への理解は、親御さんや教育者のサポート開始の第一歩となります。理解することで、より効果的なコミュニケーション支援の計画を立てるのに役立ちます。

自閉症におけるオウム返し行動は、子どもがコミュニケーションの基本を学び、他人との関係を築くための試みであることを理解することが大切です。これを理解し、その子なりのやり方を知ることで、より効果的なコミュニケーションスキル発達の支援計画を立てることが可能になります。

自閉症の子のオウム返し行動への対処法

自閉症のオウム返し行動には、どのように対処すればよいのでしょうか?まずは統合的な考え方や方法を具体的に説明します。
これの説明が終わったら、その下の項目からご家庭で出来る対処法を解説していきます。

1.どのように理解し対処すればよいか?

オウム返しの言葉を肯定的に受け取り、褒める
子どもがオウム返し行動を行ったとき、肯定的に受け止め、決して否定しないようにしましょう。また同時に「良い言葉の練習をしているね!」と褒めてあげると、子どもは努力を認めてもらったと感じ、自己肯定感を高めることができます。

忍耐強く対応する
自閉症のオウム返し行動は、子どもがコミュニケーションスキルを発達させる過程の一部です。忍耐強く、理解のある姿勢を持って対応しましょう。

2.コミュニケーションスキル向上のためにやるべきこと

対話の練習を重ねる
自閉症の子どもとは、積極的に対話の練習を重ねていきましょう。簡単な対話のゲームや質疑応答の練習はコミュニケーションスキルを向上させます。

子どもの言葉を理解する
自閉症の子のオウム返し行動に対処するためには、その子が使う言葉の意味を理解していく必要があります。

対話の重要性を分かってもらう
子どもに他人との社交的な対話の重要性を理解してもらいましょう。他者の気持ちに共感すること、他者の感情はどのようなものかに焦点を当てた会話を何度も積み重ねていきましょう。

これらの対処法は、自閉症スペクトラムの子どものコミュニケーションスキルを向上させ、オウム返し行動を軽減させるのに役立ちます。

ご家庭や学校で自閉症のオウム返し行動へ対処するには?

オウム返し行動への対応方法を、ご家庭でのやり方と学校でできるやり方に分けて詳細に説明します。

家庭環境での対処法とサポートのやり方

子どもと積極的にコミュニケーションを取る
子どもとのコミュニケーションを積極的に取り、オウム返し行動を受け入れましょう。子どもがコミュニケーションを楽しむことを最優先事項にしてあげてください。

日常生活の中で練習を重ねる
家族みんなで日常的な対話の練習を行います。単語や短いフレーズから始め、徐々に対話を発展させていくと良いでしょう。

感情を認識する練習を重ねる
子どもが他者の感情を理解できるようになる手助けをしていきましょう。絵カードや写真を使って、感情を認識させてあげ、正しい反応ができるよう練習していきます。

子どもが興味あることで練習する
子どもの興味を引くアクティビティや遊びの中で対話やコミュニケーションの練習をしましょう。例えば、車が好きなら、車に関連した会話の中から感情認識の練習を重ねていきます。

学校での対処法とサポートのやり方

親御さんは学校の先生方に自閉症のオウム返し行動に対処する方法や適切なコミュニケーション支援に関する知識を提供しましょう。そうすることで、学校でもスムーズな支援が受けられるようになります。

個別の支援計画を立ててもらう
オウム返し行動への対応方法やコミュニケーションのサポートのやり方を話し合い、お子さんの特性にあった支援計画を一緒に立てるようにしましょう。

支援級を利用する
学校に支援級がある場合、子どもが必要なサポートを受けられるよう、支援級での学びを検討しましょう。

学校と連携する
親御さんは学校の先生や支援の専門家と連携し、子どものこだわりや困りごとを考察しながら対応を考えていくようにしましょう。

視覚支援ツールを貼っておく
コミュニケーションをサポートできる視覚的な支援ツールを活用します。絵カードやシンボルカード、タイムスケジュールを張り出し、子どもが見通しをつくようにしてあげましょう。

これらの方法を使用して、家庭環境と学校環境で自閉症のオウム返し行動に対処するのに役立ていきましょう。子どもの個別のニーズに合わせてやり方を工夫し、継続的にサポートできるよう長期的な計画を立てていきましょう。

自閉症のオウム返しが成長過程で与える影響

自閉症のオウム返し行動は、幼少期から青年期にかけて、成長過程で変化することがあります。幼少期から青年期への変化について一般的な情報を紹介しておきます。ただし、オウム返し行動が成長に与える影響は個人により異なります。

幼少期 (2-5 歳)

幼少期の子どもは言語とコミュニケーションスキルを発達させている段階です。オウム返し行動は、言葉の習得やコミュニケーションの練習をしている場合があります。

コミュニケーションスキルを身につける時期
オウム返し行動が過剰な場合、子どもはコミュニケーションがうまく取れず、悩むことがあります。適切なコミュニケーションの習得はまだ難しい場合があります。

学齢期 (6-12 歳)

学齢期に入ると、子どもたちは学校や社会でのコミュニケーションを向上させるためにさまざまなスキルを身につけているので、オウム返し行動は減っていく過程が見られます。

関係の構築が難しい
オウム返し行動が友だちとの社交的な関係に影響を与える可能性はあります。友情や対人関係の構築が困難になる可能性があります。

学業不振
学校環境でのコミュニケーションが影響を受けるため、学業に影響を与えることがあります。

青年期 (13-18 歳)

青年期に入ると、自己認識や自己表現がより重要になります。 オウム返し行動が過剰に続く場合、社会性スキルや自己主張能力をトレーニングしていく必要があります。

自己表現が困難になる
オウム返し行動が過剰な場合、自己表現能力が制限されることがあります。自分の意見や感情を正しく伝えることが困難な場合があります。

自閉症のオウム返し行動は成長に影響する場合がありますが、適切なサポートとトレーニングによって軽減できる可能性があります。

自閉症のオウム返し行動の意味を理解し、サポートの方法を工夫してあげよう

自閉症のオウム返し行動は、自閉症スペクトラム症(ASD)の子によく見られるコミュニケーションの特徴の一つです。以下に、オウム返し行動について理解するべき要点とサポートのポイントをまとめておきます。

オウム返し行動を理解する
自閉症の子はオウム返し行動で、他人の発言を繰り返す傾向にあります。これは言葉の習得やコミュニケーションの一部として行われる場合があります。

オウム返し行動の向こうにある子どもの努力
オウム返し行動は、子どもが自ら、自己表現や他者との接触の試みていると考えられます。

オウム返し行動への対処法
オウム返し行動へは肯定的なアプローチと理解が重要です。コミュニケーションスキルを支援することで改善の方向へ向かえます。

家庭や学校でのオウム返し行動への対応
家庭環境と学校環境では個別のサポートが重要です。家庭では積極的にコミュニケーションし、学校では教育者と連携して適切な支援ができるようにしましょう。

成長に考慮したサポート
オウム返し行動は成長段階に応じて変化することがあるので、サポート方法もそれに合わせて変えていきましょう。

オウム返し行動は、自閉症の子どもの成長とコミュニケーション能力の一部であることを冷静に理解し、継続的にサポートしていくことが重要になります。

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この記事の著者

房前 みなみ / 発達障害コミュニケーション指導者

体を動かすのが大好き、誰とでも仲良くなれるタイプです。学生時代は陸上部に所属し、負けるのが大嫌い。とにかく強くなりたくて部活が終わった後も自主練!「勉強よりも部活!!」というタイプでした。なので、勉強にはかなり苦労しました…。でも、母が頼んでくれた家庭教師の先生のおかげで、成績を上げることができました。今度は私も同じように勉強で困っているお子さんのために「家庭教師のあすなろ」のスタッフとして、少しでも勉強を好きになってもらえるようなサポートを心がけています。

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