子育てのヒント

子どもに反抗期がないのはなぜ?ポジティブな理由とネガティブな理由

この記事の著者

木村 美紀 / 家庭教師のあすなろ お悩み解決サポーター

「うちの子、反抗期が全然ない」
「その後の反動が心配…」
「厳しく躾すぎたのかしら…?」

こんなことでお悩みではありませんか?

反抗期は人格形成を行う上で、幼少期と思春期のお子さんによく現れます。

ただ昨今では、反抗期のない割合が上昇しているようです。

でも本当に、反抗期がなくても問題はないのでしょうか?

反抗期がないと親御さんは子育てがラクかもしれませんが、もし反抗期がない反動で、将来お子さんに何か不調が出てしまったら…と考えると、素直に喜べませんよね。

そこで今日は、思春期の子に反抗期がない理由や、その場合の対処法について詳しく解説していきます。

これを読むと『反抗期がないポジティブな理由』と『反抗期がないネガティブな理由』両方がわかるので、ぜひ参考にしてみてください。



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反抗期のない割合

反抗期はお子さんが親から自立したい・独立したいという気持ちが表面化して、親御さんに反発する状態・様子を指しています。

反抗期は基本的に2回あり、時期的には以下の通りです。

● 幼少期
● 思春期

思春期は、特にお子さんが悩む時期だと親御さんも知っているとは思いますが、実は最近、反抗期がないと自覚する親子が増えてきています。

2017年明治安田生活福祉研究所による発表によると、 約3割の親御さんがお子さんに反抗期がないと回答し、約4割のお子さんが親御さんに反抗したことがないと回答しています。

親御さんも肌感覚で、昔より反抗期になるお子さんが少なくなっているのではないかと感じているかもしれません。

もちろん社会情勢が変わり親子関係の変化もありますが、「反抗期がない」には、前から考えられている、いつかの理由があるので以下で解説していきます。



反抗期がないお子さんに考えられる理由

反抗期がないお子さんに考えられる理由は、次の通りです。

1. 親が反抗期とみなしていない
2. 親と良好な関係が築けている
3. お子さんの気質・性質
4. ご家庭で強い暴力がある
5. 甘やかしてしまっている
6. 精神的(うつ等)な疾患がある

それぞれ解説していきます。



反抗期がない理由①親が反抗期とみなしていない

先ほどのアンケート結果から、親御さんとお子さんの間に反抗期があった・なかったという回答に誤差があることがわかりましたが、やはり親子間での認識の違いはあるでしょう。

そのため親が反抗期とみなしていない場合には、お子さんが反抗期であることに気付けません。

もちろん親子間の対立がないに越したことはありませんが、思春期になっても「反抗期がないな」と思ったら、以下のご家庭の特徴を見て、自分のご家庭がどのタイプに当てはまるのか確認してみることをおすすめします。



反抗期がない理由②親と良好な関係が築けている

反抗期がないお子さんに考えられる理由の二つ目は、親子間で良好な関係が築けている場合です。

親子間で良好な関係が築けているご家庭の特徴としては、お互いの価値観が似ていることがあげられます。

反抗期は親子間の価値観の違いによって起こることなので、価値観自体が似ていれば反抗期は訪れにくいです。

とはいえ、ご家庭での反抗期が訪れていなかったとしても、お子さんの反抗は他の大人に対しても訪れます。

ですからご家庭内だけでなく、学校や課外活動の場に至るまで注意深く観察し、「反抗する人にはするんだな」と考えておけば大丈夫です。



反抗期がない理由③お子さんの気質・性質

また反抗期がなくても心配しなくてもいい事例のもう一つは、お子さんの気質や性質が優しく穏やかな場合です。

この特徴を持つお子さんは、そもそも争いを好まないので、反抗心が生まれにくい場合が多いです。

しかし、注意しなければならないのが、親御さんに反抗した場合、親御さんに強い口調で言い返されるご家庭です。

今現在、反抗期なのに何も言い返せず、自分の思いに蓋をしてしまっている場合があります。

このような事例では、お子さんが思い悩んでしまい心の病に陥ってしまう恐れもあるので、ご家庭の状況と照らしあわせる必要があるでしょう。

特に、次に紹介する強い暴力があるご家庭は要注意です。



反抗期がない理由④ご家庭で強い暴力がある

ここからの特徴はお子さんの反抗期がない場合、要注意のご家庭となります。

まず第一に、ご家庭で強い暴力がある場合は、反抗期が訪れない可能性があります。

というのも、反抗する気力すら失ってしまっている恐れがあるからです。

暴力と一口にいっても、身体的な暴力と精神的な暴力がある点には注意しましょう。

具体的に例示すると次の通りです。

● 身体的な暴力:殴る蹴るの暴力・ネグレクト
● 精神的な暴力:家での自由な行動を縛る・自分の意見を言い出せないでいる

身体的な特徴は、第三者から見ても明らかなので発見できますが、精神的な暴力は家庭内にまで入り込まないと気づけません。

ということは、親御さん自身が気づく必要があるので、注意深く観察してください。



反抗期がない理由⑤甘やかししまっている

また甘やかし家庭で、お子さんがわがままに育っている場合も注意が必要です。

わがままに育っていることは、親御さんがお子さんの価値観を全て承認していることになります。

親御さんがお子さんの価値観を受け入れているのであれば、反抗しているとはいえません。

もちろんお子さんの価値観を「受け入れる」ことは大切ですが、対等に付き合わず、「全承認(言いなり)」になっているのはやめましょう。

お子さん自身の価値観で、間違っているところやダメなところは話し合いをし、徐々に直していくべきでしょう。



反抗期がない理由⑥精神的(うつ等)な疾患がある

最後は、精神的な疾患がすでに発生している場合も、反抗期がない場合があります。

うつ病も重度になると、何をするにしても気力が湧かないため、反抗する気力がそもそもありません。

とはいえ、精神疾患を抱えるようになると学校へ行く気力さえもなくなってしまうため、早期に専門医への連絡と診断が必須でしょう。

反抗期がないことよりも、まずは精神の状態を健全にすることを最優先にしてください。



反抗期がないことはおかしいことなの?

ここまで反抗期がないメジャーな理由をお伝えしてきましたが、反抗期がないこと事態に問題はありません。

というのも、冒頭でお伝えしたように、反抗期がなかったと自覚しているお子さんが4割もいるからです。

昨今ではこのようなご家庭が増えてきており、反抗期がないこと事態に危機意識を持つ必要はありません。

しかし、反抗期の時期になっても特徴が現れなかったときには、ご家庭の状況と照らしあわせてみる必要があります。

仮に問題になるような場合を例示すると次の通りです。

● 家庭内暴力がある
● お子さんがわがまま過ぎる
● 不登校気味だ

その他にも反抗期がない理由の中でネガティブな理由は複数あるので、前述した理由と照らしあわせ、現在の状況を確認してみてください。



反抗期がない病気はなにかある?

先ほどお伝えしましたが、精神疾患によって反抗する気力を失った場合、定義上の反抗期は起きないことになります。

しかし言い方を変えれば、お子さんからは精神疾患を抱えるほどの問題を抱えていて反抗できないという「ある種の反抗期」と考えたほうがいいでしょう。

というのも、うつ病になるまで気付けなかったことに対する反抗と捉えられるからです。

もちろん精神疾患を抱えた状態を放置する訳にいかないので、まずは健全な日常生活を送れるようにするのが先決です。



ポジティブな反抗期がない場合

冒頭部分で解説した反抗期がない理由の中で、ポジティブな意味で反抗期がないお子さんもいる点をお伝えしました。

メジャーな理由を確認しても当てはまるものがなければ、価値観が似ていることから反抗期になっていない可能性が高いでしょう。

もちろん反抗期がないことの裏には、多数の問題が隠れている場合もあるので予断は許しません。

しかし心配しすぎるのも問題なので、まずは反抗期の特徴がでるまで、様子見するのをおすすめします。



ネガティブな反抗期がない場合の対処法

一方で、ネガティブな反抗期がない場合には、次のような対処法があります。

● 精神的な疾患の場合専門家の診断が必要
● 甘やかし家庭は対話を増やす
● 家庭環境を改善する

それぞれ解説します。



精神的な疾患の場合専門家の診断が必要

繰り返しになりますが、精神的な疾患を抱えている場合には、反抗期の前に疾患を取り除くことからスタートしなければなりません。

というのも、疾患を治さなければ、学校生活もままならないからです。

もちろん素人判断をせずに専門家の診断を仰ぎ、必要に応じて学校の先生とも連携を取りあって対処していきましょう。



甘やかし家庭は対話を増やす

ネガティブな反抗期がない場合の対処法の二つ目は、甘やかし家庭では対話を増やすことです。

対話とは、お互いに対等な立場にたって、意見を言いあうことを指します。

今までお子さんのいいなりになってしまっていた側面を一旦忘れ、親として毅然とした態度で向きあいましょう。

この対話では次の点に注意してください。

● お子さんの価値観を受け入れる
● 怒る・非難するのではなくまずは聞き入れる
● 社会的・道義的におかしいことは伝える
● 親御さんのミスも受け入れる
● 一度で終わらせない

対話はあくまでお子さんと対等に話すことになるので、上記の点に注意してください。

親御さんの意見を通したいと思っても、お子さんの態度を変えるためには長い対話が必要なので、繰り返しじっくり行っていきましょう。



家庭環境を改善する

最後は家庭環境を改善することです。

特に身体への暴力や、精神への暴力があるご家庭が取り組まなければならない方法です。

仮に父親が身体への暴力を振るっているのであれば、児童相談所への連絡やシェルターへの避難が適切ですし、お子さんを守るためには警察への連絡も時には必要です。

また「自分が親からいわれたから」といった理由で、お子さんに対して強い言葉や生き方を強制する言葉を投げかけてはいないかのチェックも行いましょう。

家庭環境によってお子さんに反抗期が訪れない場合も、長期間の改善が必要です。

とはいえ、身体への暴力は生命の危機へ発展する恐れもあるため、必ず早期に公権力に頼るようにしましょう。



反抗期がないことによる将来への影響

ここまで反抗期がないことに対する対処法をお伝えしてきましたが、続いては将来への影響を考えていきます。

具体的には次のような影響が考えられます。

● 人格形成ができない場合がある
● 独立心が芽生えず依存体質になる
● 社会に馴染めず将来的に苦しめる

もちろん、ポジティブな意味での反抗期はこの限りではないので、安心してください。

それでは解説します。



人格形成ができない場合がある

反抗期がないことによる将来への影響の一つ目は、人格形成ができない点です。

人格とは、お子さんがどのように生きたいかを決めることを指していますが、言い換えると個性ともいえるでしょう。

思春期には、自分がどういう人間でどう生きていきたいかをきちんと考える必要があります。

その結果、親御さんとの生き方に違いが生まれ、反発心から反抗期になるといった側面もあります。

そのため反抗期がなければ、当然、人格形成もできなくなってしまいます。



独立心が芽生えず依存体質になる

人格形成ができなければ、親に依存し独立心も芽生えない恐れもあります。

独立心とは、親離れして一人で生きていこうとする心を指します。

仮に独立心が養わなければ、次のような状態に苦しむことになります。

● 他人とのコミュニケーションがうまく取れない
● 生きていくために何をすればいいかわからない
● 社会がどう動いているか肌感覚でもわからない

このように、親元から離れようという心があれば、自然と身につく社会生活を営んでいく上でのスキルが身につかない可能性が高いです。



社会に馴染めず将来的に苦しめる

社会生活を営むスキルが育たなければ、当然社会に馴染めないでしょう。

もちろん特殊なスキルを持っていて、人に助けられながらであれば社会生活を営める方もいますが、ごく少数です。

基本的に、社会生活の基礎が成り立たなければ働くこともできないので、お子さんは将来的にご家庭から出られなくなる場合があります。

となれば、親御さんに依存しきった生活しかできなくなるので、結果的に将来の芽を潰してしまいかねません。

ですから、ネガティブな意味で反抗期がないのであれば、早期に少しずつ改善をしていきましょう。



反抗期がないと考えられるお子さんの特徴5選

ここまでネガティブな反抗期がない時に行う対処法をお伝えしてきましたが、反抗期がないお子さんの特徴をお伝えすると、次の通りです。

● 大人しく穏やか
● 多感な子なのに、家庭内不和が起きている
● 家庭内で精神的な支配を受けている
● 既に自立心を持っている

それぞれ解説します。



大人しく穏やか

反抗期がないと考えられるお子さんの特徴の一つ目は、大人しく穏やかなことです。

この特徴・特性を持つお子さんの場合、争い事をそもそも好みません。

それに相手にあわせるといった性格を持ち合わせている場合も多く、自分自身の価値観を押し付けないでしょう。

逆にいうと、相手は相手、自分は自分という価値観を早期に取得しているお子さんであれば、反抗期がない可能性も高いです。

とはいえ、自分自身の価値観を押し込めているだけであれば、心を病んでしまう恐れもあるので注意してください。



多感な子なのに、家庭内不和が起きている

次に多感な子なのに、家庭内不和が起きていて、反抗期を表に出せないお子さんです。

というのも、親御さん同士の仲が悪ければ、お子さんはその雰囲気を察知し、自らの心に蓋をしてしまうからです。

そのため反抗したいのに親御さんにかまってもらえず、非行に走ったり学校でストレスを発散したりすることも考えられるので、先生からの連絡があればすぐに対応するようにしてください。



家庭内で精神的な支配を受けている

また家庭内で精神的な支配を受けているお子さんも、反抗期がない傾向にあります。

先ほどお伝えしましたが精神的な支配とは、お子さんの生き方を決めたり、自由を縛ったりすることです。

家庭内不和の場合は、語弊はありますが、まだ外でストレスを発散できる可能性もありますが、精神を縛られている場合には、親御さんの言葉が行動を縛るため何もできません。

ですから何をするにしても気力が湧かず、独立心も芽生えない結果になってしまうでしょう。



反抗期がないお子さんに関する良くある質問

最後の項目では、反抗期がないお子さんに良くある質問について解説します。

具体的には次の通りです。

● 反抗期ないと将来に反動は来るんですか?
● 反抗期がないこととうつに何か関係はありますか
● 反抗期がないことに男女差はありますか?

それぞれ解説します。



反抗期がないと将来に反動は来るんですか?

反抗期がないと、将来に反動がくる可能性があります。

反抗期は人格形成を行うために必要な過程であり、多くのお子さんが思春期に経験するものですが、高校生の後半になって反抗期が来ることもあります。

そのため一律に幼少期や中学校時代に反抗期が来ると考えるのはやめておいたほうがいいでしょう。



反抗期がないことと、うつに何か関係はありますか?

反抗期がないことと、うつの症状には関連性があります。

というのも、今回の記事でお伝えしたように、お子さんが精神疾患を抱えていると親御さんに反抗する気力さえ湧かないからです。

この状態だけを見てみると、一般的にいう反抗期がないことになります。

しかし、精神疾患を抱えるほど家庭の状態が悪い、学校の状態が悪いことに対し、精神を病むことで反抗している場合もあります。



反抗期がないことに男女差はありますか?

反抗期がないことに、男女差はある程度認められています。

というのも冒頭でお伝えした『反抗期がない割合』には、男女で若干の差が認められていたからです。

とはいえ、そこまで大きな差ではなく、誤差程度の違いではあるので「女の子だから反抗期はなさそう」といったことはありません。

そのため、男女関係なく反抗期はあると考えておきましょう。



『反抗期がない』はポジティブ・ネガティブで分けて考えよう

反抗期がないといっても理由はさまざまで、ポジティブな理由とネガティブな理由の両方があります。

そのため、どのような対処するかは、お子さんの状態やご家庭の状況をよく観察した後、考えていきましょう。

とはいえ、精神疾患や家庭内暴力による反抗期がない状態だと早急な対応が求められるので、学校や専門医、そして行政と連携を取りながら対処していくべきです。

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